天邪鬼の独り言

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幼馴染と初恋の人の思い出…1

もう、二十年以上も前のことだった。
夜の10時過ぎだったと思う。
忘れていたあの人から突然の電話があったのは。

電話の声は、僕の中学生のときの同級生だった。
彼女から以前僕は、付き合って欲しいと電話で告白されたことがある。
でも、当時の僕は女性の気持ちや感情などに疎く、
彼女はそれほどタイプとも言えなかったことと、住んでいた場所が遠かったこともあり、
すげなく断ったことがあった。

その彼女から夜、突然の電話。
一体何事かと思った。
彼女は僕の幼馴染の名前を出した。
「覚えている?」かと。

苗字を確かめ、「覚えている」と僕は答えた。
「今日電話したのは、私のことじゃないの。電話、替わるから」
そう彼女は言うと、別の女性の声が受話器から聞こえてきた。
その声はとても弱弱しく、遠慮がちで、おずおずと話しかけてきた。

「美智代です。覚えてますか?」
覚えていると僕は答えた。
「いま、どこからかけてるの?」
「白石さんのアパートから」
彼女は答えた。

白石というのは、僕の中学生のときの同級生で、最初に電話をかけた女性だ。

「ずいぶん久しぶりだね。僕のこと覚えていてくれたんだね」
そういうと、
「標準語で話すのね」
と彼女は言った。
「だって、東京に来てからもう10年経つからね。そいうみっちゃんだって」
自然に幼馴染の呼び名が口に出た。

「その名前は止めて」
彼女はそう言ったが、僕は彼女を他の名前で呼んだことはなかった。
そう言うと彼女は、「ならいいわ」と標準語で答えた。
僕は郷里の方言でしゃべりたかったが、それは彼女は拒否した。

「どうして電話してきたの?」
「電話してきて迷惑だった?」
「そいうわけじゃないけど…突然どうしたのかと思って」
ここまでの会話はごくありきたりな内容だったが、次に彼女の口から出た言葉に僕は驚いた。

「兄が二人いたでしょう?私んち。上の兄が死んだのよ、今日」
ホントウ?という言葉以外に言うべき言葉が見つからず、僕は黙ってしまった。

「クルマの中で死んでるのが見つかったの、今日の夕方」

何で自分に電話をかけてくるのか、それでもわからなかったので黙っていると、
「死因聞かないの?」
そう彼女は聞いてきた。
はっきりとは言わなかったが、排気ガスが車内に入り込み中毒死したらしいことから、言外に自殺を匂わせた。

仕事のことで悩んでいたらしい。

そう伝えた彼女の声は、悲しみに沈んでいるというより、せっぱつまった感じで、怒りすら感じられるほど強い口調だった。

「あなたが殺したのよ!!」
突然、彼女は突き刺すような口調で言った。

「どいういうこと?!お兄さんは今日死んだんでしょう?僕は今東京にいるし、昼間も事務所で働いていたんだ。殺せるはずがないじゃない!!」
あまりの展開にどう対処したいいかわからなかったが、声を絞り出すように反論した。

「矢沢、知ってるでしょう?あなたの友達だった奴よ!」
「そいつを使ってやったんでしょう?!」

とんだ濡れ衣だった。
第一、矢沢には数年間に渡って騙されていたことがわかり、去年、絶交していたからだ。
僕に美智代の兄を殺す動機があると彼女は思ったようだが、彼女の兄と多少なりとも話したことがあったのは、小学2年生のときまでで、その後、姿を見かけたことはあっても、話をした記憶すらない。何が動機だと彼女は思ったのだろうか?何が何やらさっぱりわからなかった。


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